97歳運転の車が歩道暴走 「車が手放せない」高齢者事故、どう防ぐ

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滝口信之 力丸祥子
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 福島市で11月、90代の男性が運転する車が歩道を暴走し、40代女性を死亡させる事故があった。高齢者の免許返納は進むが、日常生活を送る上で運転せざるを得ない人もいる。高齢者が車を運転しなくても暮らせる社会へ模索が続く。(滝口信之、力丸祥子)

 福島県警は車を運転していた福島市の男性(97)を自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死)の疑いで逮捕し、送検した。調べに「事故を起こしたことに間違いない」と供述している。

 県警によると、男性は11月19日夕、福島市内で軽乗用車を運転中、大型ショッピングモール脇の市道沿いの歩道を暴走し、歩道にいた女性(42)をはねて死亡させた疑いがある。続けて信号待ち中の車3台に歩道側から追突。乗っていた女性4人に軽傷を負わせ、街路樹などに衝突して止まった。男性は買い物帰りだったとみられる。

ブレーキとアクセル「踏み間違えた」 認知機能検査は問題なし

 調べでは、男性は現場付近の交差点から歩道に進入し、約140メートルにわたり暴走していた。「人がいたのでブレーキをかけようとしたが、アクセルと踏み間違えた」と供述し、付近にブレーキ痕はなかった。男性は2020年の運転免許更新時に受けた認知機能検査は問題なかったという。周辺住民によると一人暮らしだった。

 男性宅から最寄りのバス停までは高齢者だと歩いて15~20分。買い物で高齢者が利用するのは負担が大きいとみられる。近所の70代女性は「ここでは車が手放せない。夫が運転できなくなったら自分も買い物難民になる」と話す。

 農林水産省の農林水産政策研…

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