不適切な保育、全国345件 発覚は氷山の一角か 国が調査検討
静岡県裾野市の私立認可保育園で1歳児クラスを受け持っていた保育士3人が暴行容疑で逮捕された事件では、園児の頭をなぐったり、足をつかんで宙づりにしたりするといった深刻な虐待の実態が明らかになった。
そもそも園児への虐待のような不適切な保育は、全国でどれくらいあるのか。厚生労働省の調査研究によると、2019年度に全国の自治体が把握した不適切保育は96自治体で345件あることがわかった。
回答した全国の1063自治体のうち、不適切な保育が「0件」としたのは798自治体、「1~5件」が86自治体、「6~10件」と「11件以上」がともに5自治体あった。
不適切保育、自治体のとらえ方もバラバラ
「回答できない・把握していない」が、回答自治体の16%にあたる169にのぼり、実態把握が十分進んでいない状況も示された。
不適切保育とされたケースの具体的内容としては、「罰を与える・乱暴な関わり」が最も多かった。都道府県のうちの73・3%、政令指定市・中核市などの64・5%、それ以外の市区町村の58・0%で確認された。
不適切保育については、各自治体のとらえ方も同じとは言えない。
「どんな行為が不適切な保育にあたるのか」という考え方を整理しているのは、都道府県の17・8%、政令指定市・中核市などで33・3%、それ以外の市区町村の20・2%にとどまった。
「どこからが不適切か、全国共通の線引きがあるわけではないのが現状」(厚労省幹部)という。
裾野市の保育園で起きた虐待事件では、隠蔽(いんぺい)ととれる行為があったことも指摘されている。
一方、調査研究からは、内部…