(5日、サッカー・ワールドカップ決勝トーナメント1回戦 クロアチア1―1《PK3―1》日本)
その瞬間、日本のサポーターがどっと沸いた。
120分で決着がつかず、突入したPK戦の直前。主審のコイントスで、日本サポーターが陣取っていた側のゴールでPKを行うことが決まったからだ。
かつて日本代表監督を務め、5月に80歳で亡くなったイビチャ・オシムさんは、PK戦が好きではなかった。
「くじ引きみたいなもの」
そう表現して、PK戦になると控室に戻ってしまうほどだった。
「PK戦は運」
サッカー界では定説のように言われている。
はたして、そうなのか。
昨夏のPK戦と同じコース 「研究されていたかも」
サポーターの後押しを得られる、という意味でPK開始時点では、運命のてんびんは日本に傾いているように見えた。
先攻の日本は立候補する形でキッカーを決めていった。
1人目はMF南野拓実。インサイド気味に丁寧に蹴ったが、ゴール右よりのシュートは相手GKリバコビッチに防がれた。
振り向き、何かを叫ぶ南野。
張りつめていたスタジアムの…