第2回園児虐待、どこでも起きるリスク 「保育園は限界を迎えつつある」
静岡県裾野市の認可保育園で、園児を虐待したとして、保育士3人が暴行容疑で逮捕された。富山市の認定こども園や仙台市の認可外保育所でも虐待が疑われるような「不適切な保育」があったと報じられた。各地でこうした事案が相次ぐのはなぜなのか。保育現場の実態に詳しく、自身も認可保育園を運営する村山祐一・元帝京大教授(保育学)に聞いた。
――各地で保育者による不適切な行為が相次ぎ、保育施設に子どもを預けることに不安を感じる保護者もいます。
保育園は子どもたちの発達や成長を支え、守る場です。保育園でこうした子どもの権利をふみにじるような行為があることは、言語道断です。どんな理由があれ、決して許されることではありません。
裾野市の保育園の事例は、ショッキングな行為が多かったこともあり、虐待とされる不適切な行為や、その行為をした保育士個人に注目が集まっているように感じます。
でも、注目されるだけでは、何も変わりません。「何が問題だったのか」「背景になにがあったのか」を検証できなければ、同じような被害が繰り返されてしまうと危惧しています。
声を大にして言いたいのは、虐待は「特別な園」で起こったことではなく、「どこの園でも起こるリスクを内包している」ということです。
安全な保育、守るには
――繰り返さないために、まず何をするべきでしょうか。
保育の現場は、常に人手が足りず、ギリギリの状態で運営していることが少なくありません。人手不足の状況だからといって、不適切な保育をするのも仕方がない、というつもりはありません。
ただ、現状の保育の現場では、多くの園が限界を迎えつつあります。
「対策をとって」「しっかりと保育をして」と言うばかりではなく、「保育園は限界を迎えつつある」という現状を認識しなければいけません。
――具体的には。
保育士が気持ちの余裕を持っ…
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デジタルサイエンス人材が足りないと言われれば、それを養成する教育機関整備に投資したり、厚遇を用意したりするのに、なぜ保育者や教員が足りないことがこれだけ明らかになっていても、この社会は動かないのでしょうか。まるで朝三暮四です。
- 【視点】
遊びや運動に力を入れたこだわりの保育カリキュラムを提供し、広域から子供たちを集めていた身近な認可外保育園が数年前、市の認定こども園に移行しました。他の園より海や森の自然体験、園外活動が圧倒的に多く、食育と布おむつ保育が人気の理由。30年以上