昭和を代表するあの名フレーズ、今も健在 そんなの、あたりまえだ
渡義人
まだまだ勝手に関西遺産
百貨店の大阪銘菓コーナーで初めて見かけたとき、思わず二度見してしまった。
「あたり前田のクラッカー」
昭和を代表する名フレーズだと思っていたが、まさか実在したとは。赤いパッケージの真ん中に、そのままの商品名がしっかりと記されている。
「会社の名前より、はるかに認知されている言葉です」
製造している前田製菓(堺市)の前田堅一朗専務(41)は笑う。
同社は1918年の創業。戦時中に乾パンを製造した技術を応用し、55年から今も販売が続くロングセラーの「前田のクラッカー」「ランチクラッカー」を作り始めた。
当初は大阪近郊だけで売られていたが、一躍全国で知られるようになったのは、同社がスポンサーになったテレビ番組「てなもんや三度笠」の影響だ。
笠を手にした渡世人「あんかけの時次郎」(藤田まこと)と小坊主「珍念」(白木みのる)が、全国を旅する時代劇コメディー。朝日放送(大阪市)の制作で、62~68年の日曜夕方に全国放映された。
記事後半では、あの〝前田さん〟にもひとこと、うかがいました。
社史「朝日放送の50年」に…