産む、産まない 生殖補助医療の進歩、決断を迫られるのは女性たち
聞き手 田中聡子
産むのか、産まないのか――。意図せずとも抱いてしまう「産むこと」をめぐる葛藤は、生殖補助医療の進歩により、さらに複雑になっています。小説家の甘糟りり子さんは、そんな女性たちの姿を作品にしてきました。小説を通して何を伝えたかったのか、話を聞きました。
複雑化する女性の葛藤
――「産むこと」をめぐる葛藤を小説にしてきましたね。
「出産や不妊をテーマにした小説を最初に出したのは、15年ほど前になります。まだ不妊治療が今ほど一般的ではありませんでしたが、体外受精などの利用者は増えていました。当時の私は『選択肢が増えるのはいいことだ』と信じ込んでいました。しかし、『産みたい』という希望をかなえる技術がものすごいスピードで進歩して、女性たちが抱える葛藤がどんどん複雑になっていると思うようにもなりました」
――そう感じるようになったのはなぜですか。
「10年前、卵子凍結の取材…