代理出産の議論に欠けているもの 伴う非対称性、当事者たちの語り
聞き手 田中聡子
代理出産を日本でも認めるべきか――。法制化の議論も起きる中、世界各地の代理出産当事者にインタビューを重ねる金沢大学助教の日比野由利さんは、「格差に対する社会の価値観の問題」と指摘します。話を聞きました。
聞こえない「当事者」の声
――世界各地の代理出産の当事者へのインタビューを重ねています。
「代理出産の依頼者が体験を語ることは、海外では珍しくありません。ユーチューブなどで不特定多数に公開する人もいます。一方で日本では、代理出産は『秘密にすること』となっていて、当事者の声はほとんど聞こえません」
「さらに海外でも、依頼される側、つまり代理母の声はそこまで広がっていません。少数の『妊娠を楽しんでいる』という動機で代理母になった人は公にすることもありますが、残りのほとんどの『経済的理由』から代理母となった人は話したがりません。代理出産は、必ずこの非対称性を伴うと留意する必要があります」
――「非対称性」とは、どういうことですか?
「代理出産というシステム自…