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冷凍保存の受精卵、夫の同意なしに移植して出産 医師に賠償命じる

森下裕介
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 夫が同意していないのに、冷凍保存していた受精卵の胚(はい)を妻に移植して出産させたのは「夫の自己決定権の侵害にあたる」として、移植手術を行った京都市の医師に330万円の損害賠償を命じる判決が出された。大阪高裁(水野有子裁判長)は7日、この一審・京都地裁判決を支持する判決を言い渡した。

 一・二審判決によると、原告はスペイン人男性で、日本人の妻との間に2人の子どもがいた。2016年4月、被告の医師が経営する京都市内のクリニックで、体外受精によって次男をもうけた際、夫妻は分割した胚を冷凍保存することに同意した。

 その後、一家で豪州へ移住した。だが、18年1月、妻は帰国してクリニックを訪れ、この胚の移植手術を受けて妊娠し、同年9月、三男を出産した。医師は、夫に同意するかを確認しないまま、手術を行っていた。

 夫側は、「経済的な理由から、3人目の子どもをもうける意思はなかった。医師は夫に対し、移植手術に同意するかを確認する義務があった」と主張。「子どもをもうけるかどうかという自己決定権を侵害された」として、三男の養育費や慰謝料など計約3200万円の損害賠償を求めて提訴した。

 これに対し、医師側は、妻から「夫が豪州にいて同意書にサインをもらえない」と説明されていたため、移植手術を行ったとし、夫が同意していない可能性を想定することはできなかったと反論。請求を棄却するよう求めていた。

 今年4月の一審・京都地裁判決は、医師側には移植手術の際、夫に同意を確認する義務があり、夫の自己決定権を侵害した過失があると判断。慰謝料など330万円の支払いを命じた。この日の高裁判決も、一審判決の認定を支持した。(森下裕介)

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