中国の習近平(シーチンピン)国家主席が「中国共産党の指導と社会主義制度の優位性を示すもの」と誇ってきたゼロコロナ政策が、瀬戸際に立たされている。厳しい隔離や移動制限に多くの市民が反発し、抗議したことで政権が譲歩した格好だ。経済界からは歓迎の声が上がるが、本格的な政策転換となるかは見通せず、先行きの不透明感も漂ったままだ。
ゼロコロナ政策が大幅に緩和されることで、当局から操業停止や隔離を強いられ、停滞していた経済活動が徐々に正常化していくとみられる。
発表を受け日本企業からは歓迎の声が相次いだ。とくに自動車メーカーは中国での操業停止に加え、サプライチェーン(供給網)でつながる日本の工場も止まるなど影響が大きかっただけに期待が大きい。
ある大手自動車メーカーは部品の在庫があるのに従業員が出社できないという理由で、中国の工場が稼働できない事態に何度も陥った。幹部は「工場の生産運営がしやすくなり、前向きな一歩だ。これまで企業の責任外の国の政策に振り回されてきた。企業活動がしやすくなる方向に進んでくれれば」と話した。
部品調達の遅れで日本の工場を停止したダイハツ工業の広報担当は「物流などの滞りが解消され、1日でも早くお客様に商品を届けることにつながるのであれば、ありがたい」と歓迎した。
経団連の十倉雅和会長は7日、高松市での会見で「中国は世界のサプライチェーンにしっかり組み込まれていて、しかも大きな影響を持っている」と指摘。「ウィズコロナでサプライチェーンが良い方向で回転していくのは歓迎すべきことだ」と語った。
発表通りの緩和は「怪しい」 各社慎重に見極め
一方、「これまで(感染を)…