岸田政権が掲げる防衛力強化で、2027年度までの5年間で43兆円と歴史的な規模に膨らむ防衛費だが、国内の防衛産業に目を転じると撤退する企業が相次いでいる。最近は島津製作所が事業譲渡を含めて検討するなど、大手の動きがめだつ。利益率が悪く、事業を続ける「うまみ」が乏しいからだ。
「防衛事業は残念ながら苦しい。売り上げで一気に反転してどんどん伸びていくことにはならないのではと思っている」
島津製作所の山本靖則社長は11月の決算会見で、こう述べた。同社は、売り上げの8割が防衛向けの航空機器事業について、経営資源を配分する上で優先度が最も低い「再編事業」と位置づける。
自衛隊機の操縦席用ディスプ…

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