ウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊ブチャを2~3月に占領したロシア軍によるとみられる虐殺について、4遺族がロシア政府を相手に欧州人権裁判所(ECHR)に提訴したことがわかった。ロシアの戦争犯罪をめぐっては、すでに国際刑事裁判所(ICC)が訴追に向けた捜査をしており、国際裁判で責任を追及する動きが進んでいる。
遺族らの代理人を務めるサンマリノのアキーレ・カンパーニャ弁護士(43)によると、原告はブチャで肉親をロシア軍に殺害されたと主張する4遺族9人。ウクライナや英仏などの弁護士らの支援も得て、8月4日に申立書(訴状)を送付し、同11日に到着の連絡が来たという。ECHRが受理するかどうか審査する。
ECHRは、欧州人権条約に基づく国際裁判所で、ウクライナを含む46カ国の欧州評議会の加盟国が対象。ICCが国家の首脳や軍指導者ら個人を裁くのに対し、ECHRは同条約で定められた権利を侵害した国家を訴えることができる。判決は加盟国を拘束する。ロシアは3月に欧州評議会から脱退を表明した後に追放されたが、表明後6カ月は管轄権が残るため、提訴が可能になった。
専門家「政治的な変化生む可能性も」
朝日新聞は本人の了解を得て…
- 【視点】
たいへんなせめぎ合いの現場をベテラン記者が垣間見せてくれている。戦争と人権。主権国家と国際機関。そして、国内の連帯と分断など、多くの綱がいろいろな方向に引かれている。 戦争犯罪は裁かれなばならない。一人一人の人生が無残・残酷に絶たれる

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