きらめく、平安の美意識 奈良博で特別展「春日大社若宮国宝展」

筒井次郎
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 世界遺産春日大社奈良市)の摂社(せっしゃ)・若宮神社の社殿を造り替える「式年造替(ぞうたい)」の完了を記念した特別展「春日大社 若宮国宝展―祈りの王朝文化―」(朝日新聞社など主催)が10日、奈良国立博物館で始まる。平安貴族の奉納品など、壮麗な世界が広がる。来年1月22日まで。

約20年ごとの「式年造替」、10月に完了

 若宮神社は、春日大社の祭神の子をまつる摂社。本殿の100メートル南にあり、平安後期の1135年に社殿は造られた。約20年ごとの式年造替は、今回が43回目。10月28日に完了した。

 若宮神社の祭神は春日若宮神。飢饉(ききん)や疫病に人々が苦しんだ時代に現れ、神仏習合が進んだ鎌倉時代には文殊菩薩(ぼさつ)と同一とみなされた。五穀豊穣(ほうじょう)や学問の神として長く信仰されてきた。

 毎年12月にある例祭「春日若宮おん祭」は、創建の翌年に始まった。900年近く続く、奈良の冬の風物詩となっている。

 特別展では国宝25件、重要文化財10件を含む89件が出品される(前・後期で一部入れ替えあり)。

平安貴族が奉納した神宝類、すべて公開

 一番の見どころは、創建当初に藤原摂関家などの貴族から奉納された国宝の「若宮御料古神宝類(わかみやごりょうこしんぽうるい)」。20件すべてを展示する。平安の技の粋が尽くされた逸品が伝わったもので、「平安の正倉院」とも称される。

 その一つ、純金の鶴が銀の枝にとまる「金鶴及銀樹枝(きんつるおよびぎんじゅし)」は、王朝文化の美意識を伝える。平安貴族は、歌会などの場に鶴亀をのせた洲浜台(すはまだい)など趣向を凝らした作り物を置き、みやびな雰囲気を演出していた。その唯一の遺品とされる。

 今回の造替に合わせ、人間国宝(彫金)の桂盛仁(もりひと)さんが制作した復元新調品「金鶴洲浜台」も展示される。

 同じ神宝類の「毛抜形太刀(けぬきがたたち)」も、美しい装飾に目を見張る。その名は、柄(つか)にある毛抜きに似た形の透かしに由来する。

 鎌倉時代の絵巻物「春日権現験記絵(かすがごんげんげんきえ)」(国宝)には、現在と変わらない若宮神社が描かれている。

 同じ鎌倉時代の獅子(しし)と狛犬(こまいぬ)は、初公開となる。近年社殿から出された1対で、文化財としての価値も高いという。たてがみが体の線に沿ってゆったり流れ、がっしりとした体形が特徴だ。

 鮮やかな赤色が印象的な国宝の「赤糸威大鎧(あかいとおどしおおよろい)」は、鎌倉~南北朝時代の豪華な甲冑(かっちゅう)だ。そのデザインから「竹虎雀飾(たけとらすずめかざり)」とも呼ばれ、社伝では源義経のものとされる。

 江戸時代のおん祭の様子を伝える「春日若宮御祭礼(ごさいれい)絵巻」は、3巻すべてが展示される。祭りの華である時代行列「お渡り式」のほか、神事も丁寧に描かれている。

 春日大社の花山院(かさんのいん)弘匡(ひろただ)宮司は「若宮様のご宝物をすべてご覧いただくのは稀有(けう)な機会。春日大社にしか残っていない平安の王朝の美と、復元新調品で当時の貴族が見た輝きの両方を見て頂けたら」と話す。(筒井次郎)

会期は2023年1月22日まで

◇12月10日[土]~2023年1月22日[日]、奈良国立博物館(奈良市登大路町50)。月曜と12月28日[水]~1月1日[日][祝]、10日[火]は休館(1月2日[月][休]、9日[月][祝]は開館)。前期(12月25日[日]まで)と後期(27日[火]から)で展示替えあり。午前9時30分~午後5時。入館は閉館の30分前まで

◇一般1600円(前売り1400円)、大学生・高校生1400円(同1200円)、中学生・小学生700円(同500円)

◇本展と春日大社国宝殿「杉本博司春日神霊の御生展」(12月23日[金]~2023年3月13日[月])の観覧券がセットになった特別チケットは2千円。当日一般券を別々に買うよりお得です。券種は一般のみ

◇各種前売りは12月9日[金]まで主要プレイガイドなどで販売

◇問い合わせ ハローダイヤル050・5542・8600

◇同館ホームページ https://www.narahaku.go.jp/別ウインドウで開きます

主催 奈良国立博物館、春日大社、朝日新聞社、NHK奈良放送局、NHKエンタープライズ近畿

協賛 尾田組、天理時報社

協力 日本香堂、仏教美術協会

◆感染症拡大防止のため、会期などを変更する場合があります

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