拳を振り上げ、両手をたたいて、叫んだ。
「相手、死にものぐるいで来てるぞ、球際!」「球際負けんな! 行くぞ!!」
11月27日のサッカーワールドカップ(W杯)カタール大会1次リーグE組第2戦のコスタリカ戦。ハーフタイムの控室で、日本代表の森保一監督の声が響いた。
【連載】森保エフェクト サッカー日本代表さらなる進化へ
目標の8強以上にはあと一歩届かなかったが、たしかな足跡を残した日本代表。ドイツ、スペインを破った歴史的勝利の背景、そして未来へつなぐものは。森保一監督が日本サッカーに与えた「エフェクト(影響)」を探る。
チームの内側を描いた動画にも、この場面はしっかり映っている。試合は0―1で敗れたが、監督の強い気持ちは選手たちに届いていた。
試合後、DF長友佑都はこう言った。「きれいなサッカーだけでは勝てない」
世界で勝つには「小手先の策では戦えない」
戦術うんぬんの前に、ボールを奪い合う1対1の局面で負けない――。2018年夏の就任以来、監督が言い続けてきたことだ。
大会に向けてドーハ入りした…
- 【視点】
個の力か組織か。こうしたサッカーの論議は、「組織力」を重視した2002年のトルシエジャパンに続き、「個の力」の重視に振れた2006年のジーコジャパンの時に沸騰し、「結局は両方が必要」「個の力を生かすような組織でこそ、強い」ということで、既