「有難う、いづれまた」 引き出し裏に開戦前後の墨書、残した思いは
古庄暢
押し入れを整理していて見つけた、古い小さな鏡台。手入れをするため、四つの引き出しを抜き取ると、その裏や側面には墨で文字が書かれていた。
「中浜定七さん 有難う 松子さん いづれまた 雄滝さん 御氣嫌よう」
「決戰体制」
青森県の大鰐温泉郷にある老舗旅館「ヤマニ仙遊館」の5代目当主、菊池啓介さん(56)は11月下旬、この墨書に気づき、「なぜ、こんなところに?」と驚いた。
文字には、日付やイニシャルも添えてあった。
「2601.1.10.K.N.」
「2601 12.22―23」
戦前に使われていた皇紀とみ…