大震災で癒やされた空、この世にひとつの写真で 岩手大院生が個展
藤井怜
東日本大震災をきっかけに「空」に魅せられた人がいる。岩手大の大学院で学びながら作家活動をする踏井耳子(ふみいみみこ)さん(23)=本名・中村史佳。悲惨な光景ばかりだった地面など「下」ではなく「上」に着目し、写真を撮り続けてきた。今週末、盛岡市で個展を開く。
岩手県大槌町で生まれた。いつも近くに広い海や空があった。小学5年生の時に被災。いつ余震の避難で家族がバラバラになるか分からないと、連絡のためにガラケーを持たされた。
それを機に写真を撮るように。がれきで埋め尽くされ、下には撮りたいものがない。見つけたのが、上、空だった。気づいたら空の写真が携帯のフォルダーを埋めていた。「見上げれば空があって、空に癒やされて。趣味の一つになった」
写真は、人見知りだった自分も変えてくれた。大学入学後、写真を通じて人との関わりが増えた。人物を撮影するポートレートにも挑戦していった。「レンズを通じてコミュニケーションをとれるようになって。私にとって、写真は人とつながるツールなんです」
個展では「キラキラ、つやつ…