岸田首相肝いりの国際賢人会議 二つの「橋渡し役」への一助になるか

有料記事核といのちを考えるウクライナ情勢

編集委員・副島英樹
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 国内外の有識者らを招いて核軍縮について話し合う「国際賢人会議」が12月10、11日、被爆地・広島で開かれる。広島選出の岸田文雄首相の肝いりで、当初は政治指導者クラスを招く意向だったが、現実には難しかったようだ。それでも、「核兵器のない世界」に近づけるためには重要な意義を持ち、評価されてよいだろう。

 戦争被爆国である日本がやるべき「橋渡し」は二つある。

溝が深まるなかで

 一つは、核保有国と非核保有国との橋渡しだ。核保有国側には、米国の「核の傘」の下にある日本や北大西洋条約機構(NATO)諸国も入る。

 核不拡散条約(NPT)で核保有を認められている米国、ロシア、中国、英国、フランスは、条約第6条が定める「誠実な軍縮交渉義務」を負うが、しびれを切らした非核保有国側の働きかけで生まれたのが、昨年1月に発効した核兵器禁止条約だった。しかし核保有国側はこの条約に背を向け続けており、溝は深まるばかりだ。

 もう一つの「橋渡し」は、核保有5カ国の中の、米英仏と中ロとをつなぐという役割だ。世界の核兵器の9割を保有する米ロの対話がなければ、そして、米ロに追いつこうと核増強に動く中国を交渉に巻き込まなければ、核軍縮はもとより核の軍備管理すらできず、リスクが膨らみ続けているのが現実だ。

 冷戦終結後のNATO拡大をめぐる米ロの確執が、ウクライナ侵攻というロシアの暴挙を生み、1962年のキューバ危機以来の核危機に世界は直面している。ロシアの行為は決して容認できないが、ロシア批判で溜飲(りゅういん)を下げるだけでは危機回避にはつながらない。こういう時期だからこそ、国際賢人会議がこの危機感を共有し、「対話への促進剤」となることを期待したい。

 「核兵器はいつか火を噴く」

 今年8月30日に亡くなった…

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