中国の習近平(シーチンピン)国家主席は8日、訪問先のサウジアラビアのサルマン国王、国政を事実上取り仕切っているムハンマド皇太子とそれぞれ会談し、2年ごとの首脳会談や、同国との「包括的戦略パートナーシップ協定」に合意した。伝統的に親米で中東地域の大国でもあるサウジに接近し、同地域への影響力を広げようとしている。
サウジは中国の石油の主要な調達先で、中国税関総署によると、2021年のサウジ産原油の輸入量は全体の17%を占め、国別でトップだ。サウジにとっても13年以降、中国は最大の貿易相手国となっている。
ただ、近年の両国関係の密接さは、資源の分野だけにとどまらない。
今回、両国が調印した協定には、習氏が掲げる中国の巨大経済圏構想「一帯一路」と、サウジの国家改革指針「ビジョン2030」の連携が盛り込まれた。中国側の発表によると、習氏は会談で「二つの計画の連結を実行し、各分野の協力が成果を収めるよう推進したい」と述べたという。
「ビジョン2030」が目指すのは、石油依存からの脱却と産業の多角化だ。総工費5千億ドル(約70兆円)の人口900万の未来都市「ネオム(NEOM)」の建設をはじめ、観光立国、スポーツ振興、教育改革などが含まれ、膨大な資金が必要となる。
野心的な内容の実現性に疑問の声も出る中、サウジ側には一帯一路と連携し、中国マネーを取り込むことで構想の実現に弾みをつけたい思惑がのぞく。
国営サウジ通信によると、今回両国が調印した投資案件はグリーン水素、太陽光、情報技術、自動運転技術、医療、住宅建設など多岐にわたり、総額約300億ドル(約4兆円)に上る。
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一方、中国側は今回の訪問で…