第5回続いた1歳児の被害は偶然か 保育士配置基準や自治体間格差、改善を
保育園児に虐待した暴行容疑で静岡県の保育士3人が逮捕されるなど、各地で保育現場の不適切な行為が明らかになっています。元保育士で保育マネジメントの研修に取り組む小崎恭弘・大阪教育大教授は、「保育の必要性への認識、期待が高まっているからこそ、責任も重く問われてきている」と話します。
連載〈崖っぷちの保育 ~子どもの安全を守るには~〉
慢性的な人手不足、一向に改善しない労働環境。保育の現場から悲鳴があがっています。不適切な保育の実態も相次いで発覚しました。いま考えるべきことは――。
――保育者による虐待の疑いなど、不適切な行為が各地で相次いでいます。逮捕された保育士もいます。
相次いでいる不適切な行為は、突然起きていることではないと思います。過去にも、全国各地で起きています。
しかし今回、静岡では3人の保育士が逮捕され、富山では2人の保育士が書類送検されました。
複数の保育士に問題があったということは、これらの保育士だけではなく、組織自体にも問題があったのだと思います。
リーダー的な人や声の大きい人を止められない。迎合してしまう。不適切な行為をしていても許される文化、そういった環境があったのではないでしょうか。
子どもを守り、情緒の安定を図るのが保育です。私は電気やガスのような社会インフラだと考えています。
保育士の逮捕は驚きましたが、共働き家庭が増え、保育の必要性への認識、期待が高まっているからこそ、責任も重く問われてきているとも感じました。潮目が変わっていく時なのかもしれません。
1歳児で事件、偶然で片付けられない
――静岡の保育園でも富山の子ども園でも、被害者は1歳児でした。
1歳児は、一番手間がかかり…