10日にノーベル平和賞を受賞したウクライナ、ロシア、ベラルーシの人権活動家らは、戦渦の国に生き、あるいは政権の厳しい弾圧を受けてきた。10日にオスロで行った受賞演説では、なぜ彼らが人権のために闘ってきたか、そしてなお闘わねばならないかを訴えた。(キーウ=根本晃)
政治的抑圧などに目を光らせてきたロシアの人権団体「メモリアル」は授賞式に、ロシア・チェチェン共和国出身のラナ・エステミロワさんを招いた。彼女の母親は、同団体の活動家で、記者でもあったナタリヤ・エステミロワさん。2009年に殺害された。
広報担当者は「ラナさんは言わば、『みんなの娘』。メモリアルの化身であり、本質でもあるからだ」と説明する。
母のナタリヤさんは、カドイロフ首長の独裁が進むチェチェンで、団体支部長として人権問題を追及した。ラナさんが15歳の時、母は誘拐され、頭と胸を撃たれた遺体で見つかった。ラナさんはその後、英国に移り住んだ。
広報担当者は「ウクライナで戦争が起きているが、彼女はチェチェンの戦争も知っている。まだ若く、彼女は(社会にとっての)未来でもある」と期待を込める。人権のため闘う大切さと、その困難さの「記憶」を引き継ぐ存在だからだ。
■「ロシア国家の神聖化」犯罪…

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