フランスの底知れぬ層の厚さ、若手のミスもカバー W杯連覇なるか
(10日、準々決勝 フランス2―1イングランド)
王者フランスの強さ、豊かさは、底が知れない。
前半17分の先取点はMFチュアメニ。見事なミドルシュートをゴール左に沈めた22歳は、前回大会の優勝後、フランス1部リーグデビューを飾った存在だ。めきめきと頭角を現し、いまやスペイン1部レアル・マドリードの要に成長した。
勢いゆえ、粗削りな面は残る。同点を許すPKを与えるファウルを犯し、反省を口にした。「改めなければいけないところがまだまだある」
そんな多少の失態も、カバーできるだけの経験値がチームにはある。代表格が36歳のFWジルー。後半32分に決定機をセーブされながら、不屈の男は「チャンスは来ると信じていた」。1分後。マークする相手の前に入り込み、左クロスにどんぴしゃりで合わせたヘディングで決勝点をたたきこんだ。
実力のあるイングランドとの接戦に、「4年前の(準決勝)ベルギー戦の経験が生きた」とジルーは明かす。相手は豊富なタレントを擁し、球を奪いにかかる圧力も強い。CK数やボール保持率で下回って主導権を握られた。それでも逆襲で脅威を与えながら、セットプレーで勝ちきった。
4年前の一戦のように。イングランド戦も耐えて、ひと刺しで仕留めた。
大会前に負傷者が相次いだ影響を感じさせない。前回優勝メンバーで中盤を支えたカンテやポグバがいなくても、チュアメニが補って余りある。世界最優秀選手(バロンドール)のベンゼマが離脱しても、ジルーがいる。
際立つ若さで頂点に立った前回のレ・ブルー。あれから4年、フレッシュさに加えて円熟味を併せ持ち、したたかに戦える集団に進化している。「今夜はリラックスして、明日から仕事に戻る。大事な2試合が残っている」とジルーは言った。60年ぶり3カ国目の2連覇まで、あと2勝だ。(藤木健)
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。