学校で教える教師なのに、広瀬貴樹さん(39)は「学校の外に居場所をつくりたい」ということばかり考えていた。
横浜市立小学校で14年間教師をつとめ、不登校の子どもをはじめとする、生きづらさを抱えた子どもたちを数多く見てきた。
「自分には何の取りえもない」
「自分なんて死んだ方がいい」
こんなことを話す子どももいた。
言葉の裏には、家庭環境や発達での悩み、学校生活で困っていることなど、様々な背景がある。子どもたちのせいではない。
学校でそんな一人ひとりの背景を見つめながら、悲しみやつらさにとことん寄り添いたいと思ってきたが、現実は厳しかった。
「子どもが苦しんでいても、学校でできることは限られる」
無力さを感じた。
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