政府が13日に自民党の会議で示した「国家安全保障戦略(NSS)」の政府案に、サイバー攻撃を未然に防ぐための「積極的サイバー防衛」(アクティブ・サイバー・ディフェンス)の導入が明記されていることがわかった。名称は「能動的サイバー防御」とした。
積極的サイバー防衛は、サイバー空間での安全保障を強化する目的だが、憲法や法令に抵触する可能性がある。こうした問題をクリアするため、実施の条件や手続き、個人情報やプライバシーが侵されないための仕組み作りなどの課題は多い。
自民の会議で示されたNSSの政府案によると、「我が国を全方位でシームレス(継ぎ目のない)に守るための取り組みの強化」の一つに、サイバー空間での安全保障の強化を挙げた。そのため「サイバー安全保障分野での対応能力を欧米主要国と同等以上に向上させる」との目標を掲げた。
武力攻撃に至らないものの、国や重要インフラなどに対する重大なサイバー攻撃を未然に排除したり、実際に発生した場合の被害の拡大を防いだりすることをめざす。そのため「サイバー安全保障分野の情報収集・分析能力の強化」と、「能動的サイバー防御の実施のための体制整備」に取り組むとした。
具体的にはサイバー空間を常に監視して相手からの攻撃を事前に察知し、不審な動きを見つけた場合には、相手のシステムやサーバーに侵入して相手を無力化させたり、反撃したりすることを可能にするといった内容だ。
これを実現するために、三つ…

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