「法律は敵だった」少年時代の紀藤弁護士 カルト追及30年の原点
管理教育が息苦しかった中学時代も、校則に従わなかった高校時代も、「ルール」は敵だった――。弁護士の紀藤正樹さん(62)が法律の道を選んだのは、そんな10代のときでした。そして、今や「被害者を守る」側に。
安倍晋三元首相が銃撃されて犯行動機が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への恨みと報じられた今年7月以降、取材が殺到する紀藤さんは30年以上前から消費者問題、とりわけ霊感商法の被害者救済に奔走してきた第一人者です。
1990年代から「マインドコントロール」の危険性を指摘してカルト集団からの脱会活動にかかわり、「全国霊感商法対策弁護士連絡会」の仲間たちと判例を積み重ねてきました。先日、被害者救済新法が成立したとはいえ、「議論はまだ序の口。宗教2世の問題を含めて整備すべき点は非常に多く、他国のような総合的カルト対策を早急に検討を」と強く訴えています。
――片手に天秤(てんびん)、片手に剣を携えたギリシャ神話の女神テミスは「正義」の象徴として、法曹界で親しまれています。紀藤さんが所長を務める「リンク総合法律事務所」にも高さ数十センチの像がありますね。
はい。実はこれ、私にとって最年少の依頼者からのプレゼントなんですよ。出会った時はまだ小学4年生の男の子で、『牧師が暴力を振るうので裁判をしたい』と言ってきた。
インタビューの後半では、なぜ弁護士を志したのか、その夢を追いかける過程で出会った人々に学んだこと、働き始めてすぐに霊感商法にかかわったことなどを語っています。
その後、母親と入信していた…