日本人7人犠牲のテロ乗り越え 「悲願の事業」ダッカメトロ開通へ

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ダッカ=石原孝
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 高い経済成長率を見せる南アジアのバングラデシュは、日本の約4割の国土に約1億6千万人も住んでいる。都市化も急激に進み、首都ダッカは世界有数の過密都市に。そんな巨大都市で、日本が進めている「悲願」の事業がある。

 12月7日午後6時過ぎ、記者を乗せた車が首都の中心部から宿までの約4キロの道のりを走行していると、帰宅ラッシュの渋滞に捕まった。少し動いては止まってを繰り返す。

 ウィンカーを出さずに車線変更をする車が多く、さらにCNGと呼ばれる三輪自動車も密集し、クラクションの音も止まらない。

 裏道に入ると、今度はリキシャと呼ばれる三輪自転車の列が見えた。結局、宿に着いたのは約1時間後だった。

 「これなら歩いた方が早かったね」と運転手のミザンさん(47)に伝えると、「渋滞は年々悪化している。家族から何時に戻ってくるか聞かれても、渋滞次第だから答えようがないんだ」とぼやいた。

 日本人駐在員の一人も「首都の国際空港から中心部までも、道が空いていれば約20分で着く距離なのに2時間くらいかかるときがある」と言う。

 都市化や交通量の増大もあり、大気汚染も悪化している。スイスの調査会社IQエアの2021年の報告によると、バングラデシュの大気中に含まれる微小粒子状物質「PM2.5」の濃度は、年間平均で1立方メートル当たり76・9マイクログラムを記録。世界117カ国・地域の中で最も悪く、世界保健機関(WHO)による指針の15倍を超える。

 世界銀行によると、呼吸器疾患などの危険性は高く、国内では19年に8万人前後が大気汚染の影響で亡くなり、主な死亡原因の一つにもなっているという。

 こうした状況で、期待されて…

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