広がる「ユニバーサル就労」 働きづらさに寄り添い、伴走型で支援

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江口悟
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 心身の不調やひきこもりなど様々な働きづらさを抱える人を受け入れる「ユニバーサル就労」という支援の仕組みが、全国に広がりつつある。一人一人の個性や事情に合わせて、段階的に無理なく働けるように支える。受け入れ企業にも理解を求めることで、職場への定着を図っている。(江口悟)

相談しやすい仕組み 「ステップ進む原動力に」

 千葉県佐倉市の中田圭祐さん(22)は小学6年の頃、「線維筋痛症」を発症した。体のあちこちが痛むが、原因も治療法もわからない。ひどいときは起き上がるのもつらく、次第に学校にも通えなくなった。

 体調の不安から働いた経験もなく、将来に悩んでいた19歳のとき。母親が働いていた社会福祉法人の「生活クラブ風の村」がユニバーサル就労を手がけていた縁で、利用を希望した。

 面談で症状を説明し、同法人が運営する佐倉市内の知的障害者施設「生活クラブ風の村とんぼ舎さくら」で職場体験をすると、見た目ではわからない病気のことも理解してもらえ、心が少し軽くなった。

 その施設で2019年9月から、1時間500円の報酬で「有償の訓練」を始めた。野菜直売所への品出しや清掃を1年ほど続け、働くペースをつかんだ。

 20年12月に、最低賃金以上を受け取る「雇用」の段階に進み、21年4月には障害者の介助を担当するように。同9月には時給が他の職員と同じになり、今年6月で支援を「卒業」し、一般就労となった。今は週4日、利用者の介助や作業の補助をこなす。

 中田さんは「定期的に面談があり、『体調が安定しているので働く時間を増やしたい』といった相談がこまめにできた。自分で働き方を決められたことが、次のステップに進む原動力になった」と振り返る。次は月給制の正規職員をめざす。

千葉県を起点に全国に広がるユニバーサル就労。記事後半で報告する岩手県陸前高田市静岡県富士市の実践にはそれぞれに重要な特徴がありました。全国的な連携でシステムの標準化をめざす新たな動きも紹介します。

発祥の地は千葉 「風の村」から全国に広がる

 ユニバーサル就労は、県内で…

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