第5回息子の自殺から報告書まで8年…両親「力尽きるのを待っていたのか」

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小若理恵 宮崎亮
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 今年11月上旬、両親は息子の誕生日を祝った。

 生きていれば27歳。仏前には、好きだったクッキーやせんべいを供えた。

 「プレゼントには『何か使えるものを』って考えるじゃないですか。でも、亡くなっちゃうと、何もあげられるものがないんですよね」

 母親は寂しそうに語る。

 岡山県立岡山操山高校野球部のマネジャーだった息子(当時16)は、2012年7月25日、野球部の練習後に行方不明になった。翌日、遺体で見つかった。自殺だった。

 両親は息子が亡くなった直後から、背景に監督による不適切な指導があったと考えていた。

 「原因を調べてほしい」

 「第三者による聞き取り調査をしてほしい」

 学校側に繰り返し求めた。

 だが、第三者調査委員会の設置主体をめぐって県教委と遺族の意見が対立。県教委が設置した第三者委の調査が始まったのは、死亡から6年も後のことだった。

 第三者委が報告書を出したの…

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    島沢優子
    (ジャーナリスト・チームコンサルタント)
    2022年12月21日18時48分 投稿
    【解説】

     教育委員会。ひとり一人と話すと良い先生なのに、この五文字でくくられると一気に残念な組織になる姿を何度も見てきました。  岡山のこの事件、実は私たちに幾つもの示唆を与えてくれています。 まず、生徒が亡くなったのは2012年7月26日。明

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    中小路徹
    (朝日新聞編集委員=スポーツと社会)
    2022年12月21日17時15分 投稿
    【視点】

     まず確認しておきたいのは、負けたからと罰として走らせたり、プレーでミスしたからと暴言を浴びせるのは、スポーツの本質をゆがめた言動です。  もともとスポーツのルールは、動き方を限定させ、ミスが生じるように設定されています。そのルールの下、

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