今年11月上旬、両親は息子の誕生日を祝った。
生きていれば27歳。仏前には、好きだったクッキーやせんべいを供えた。
「プレゼントには『何か使えるものを』って考えるじゃないですか。でも、亡くなっちゃうと、何もあげられるものがないんですよね」
母親は寂しそうに語る。
岡山県立岡山操山高校野球部のマネジャーだった息子(当時16)は、2012年7月25日、野球部の練習後に行方不明になった。翌日、遺体で見つかった。自殺だった。
両親は息子が亡くなった直後から、背景に監督による不適切な指導があったと考えていた。
「原因を調べてほしい」
「第三者による聞き取り調査をしてほしい」
学校側に繰り返し求めた。
だが、第三者調査委員会の設置主体をめぐって県教委と遺族の意見が対立。県教委が設置した第三者委の調査が始まったのは、死亡から6年も後のことだった。
第三者委が報告書を出したの…
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