東京都で来春、80歳以上のサッカー公式リーグが発足する。この年代限定は全国でも例がない。高齢化が進み、様々に広がる高齢者スポーツ。遠くカタールの地でのサッカー・ワールドカップ(W杯)が注目を集める中、お年寄りたちも熱心にボールを追っている。
「もっと速く」「守りが遅いぞ」。10月半ば、東京都世田谷区の駒沢オリンピック公園。高齢者41人がゲーム形式の練習をしていた。80代リーグの準備で始まった合同練習だ。
Jリーグと同じ広さのピッチを、メンバーたちは駆け回る。勝負にこだわり、厳しいかけ声も飛ぶ。パスに追いつけずぼうぜんと見送ったり、空振りしたりといったシーンも出た。
パンツの色が金や紫の人がいる。金は80歳以上、紫は85歳以上または90歳以上の年でピッチに立つ栄誉をたたえたものだ。
参加選手は様々だ。
元日本代表から未経験者まで メンバーは多種多様
野村六彦さん(82)は元サッカー日本代表で、1965年時の日本サッカーリーグの初代得点王。練習後に息を切らす様子もない。W杯カタール大会での「後輩」の活躍に、「勇気や情熱をもらって、負けないぞという気持ちがわいてくる。体は以前のように動かないけれど」と笑う。
金(キム)明植(ミョンシク)さん(84)は現役時代、在日朝鮮蹴球団の中心選手で、東京朝鮮高級学校の監督も務めた。直腸がんの手術を受けて1年ほど。「ボールを蹴れるのが何よりもうれしい」と話す。
横山隆雄さん(86)は会社…