続発する病院へのサイバー攻撃 情報公開で教訓の「バトン」つなごう
記者解説 編集委員・須藤龍也
医療機関へのサイバー攻撃が活発化している。10月下旬には大阪急性期・総合医療センター(大阪市)のほか、東京の大学病院、静岡の医院など少なくとも4カ所が被害にあった。
医療センターへの攻撃は、病院側の情報公開もあって注目された。電子カルテやパソコンが使えなくなり、昔ながらの紙のカルテで診察をしている様子などがメディア側に提供された。医師がカメラの前に立ち、攻撃を受けた状況について「病院が記憶喪失になった」などとわかりやすく説明した。医療センターの事務責任者は、「被害の実態を一人でも多くの方々に知ってほしい。他の医療機関の教訓にもなる」と語る。
実は、医療機関への攻撃は2017年ごろから起きていた。公表されなかったり、システム障害だと発表されたりして、危機感はあまり高まらなかった。
流れが変わったのは昨年10月、徳島県つるぎ町立半田病院のケースだった。約2カ月にわたり病院の機能が事実上停止。地域で唯一のお産の受け入れも断らざるを得なくなった。たった一つのコンピューターウイルスが、地域医療に深刻な影響を与えた。
「全て取材し、何を報道して…
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