保育は虐待と隣り合わせだ――。静岡県裾野市の認可保育園で起きた園児の虐待事件を受け、愛知県の保育士がそうツイートしました。今年7月まで8年間保育士として働きながら、大学院で人間科学を研究し、現在は中部大学の非常勤講師として保育士の養成に携わる天野諭さんです。
余裕のない現場で、過去には天野さん自身も子どもに威圧的な対応をしてしまい、反省した経験があるといいます。「圧倒的に弱い立場の子どもと向かい合うときは、注意が必要」。一方で、保育士が一人で抱え込まずにすむよう、心を健全に保つためのケアの視点も必要だと語ります。詳しく聞きました。
子どもの頃の「傷つき体験」から
――保育園で働きながら大学院に通い、乳幼児期の子どもの育ちについて研究してきました。きっかけは。
僕自身の幼少期の体験が原点にあります。今でも記憶に残っているのは幼稚園でのこと。工作の時間に先生から材料が配られたのですが、先生は僕にだけ配り忘れて、工作ができなかった。当時はとても内気で、先生のところに「ください」って言いに行けなかったんです。
ついに泣き出した僕を、先生…