相次ぐ保育虐待 同僚や親の「訴えにくさ」なくす保育園の試み

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中井なつみ、田渕紫織
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 園児を虐待した暴行容疑で保育士3人が逮捕されるなど、全国各地の保育園で問題のある保育が明らかになっている。

 幼い子どもは自分で被害を訴えることが難しく、頼りになるのは周りの大人の目だ。

 虐待事件があった静岡県裾野市の「さくら保育園」では、日常的に児童を怒鳴りつけたり暴言を吐いたりする行為を、同僚職員が目撃していた。他のクラスの職員は、現場を見ても誰にも言えない状況だったと証言している。

 問題のある保育を早期に発見し、改善するには、何が必要なのか。

 東京都板橋区認可保育園「わかたけかなえ保育園」では、匿名でも利用できる問い合わせフォームを作るなど、訴えやすい仕組み作りに力を入れてきた。

 今回の事件を受け、虐待防止のためのガイドラインを改訂。保護者や保育士ら職員から「不適切な行為では」と指摘があれば、「理由に関わらずその行為は即時に中止する」と明文化することにした。

 山本慎介園長は「適切かどうかは人によっても幅があり、おかしいと思っても指摘しづらい気持ちは理解できる。『言うべきだ』ということを職務上の責任として明確に示すことが必要だと考えた」と話す。

 同園の女性保育士は、以前務めていた園で、同僚が「言うことを聞かない」という理由で子どもをベランダに出しており、驚いた経験がある。ガイドラインがあることで、「違和感があったとき、指摘していいという安心感につながる」という。

 日本総合研究所上席主任研究…

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