第24回「岸田印」のはずが…格差是正に及び腰 課税強化の超富裕層は数百人

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筒井竜平
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 自民・公明両党は16日、来年度の与党税制改正大綱を決定した。資産所得倍増プランを掲げる岸田文雄首相の意向に沿って、株式などの運用益が非課税になるNISA(少額投資非課税制度)を大幅に拡充することなどが柱となる。所得税の負担率が低い超富裕層に対する新しい課税強化策も導入するが、対象はごくわずかだ。最大の焦点だった防衛費増額のための増税については、税目などの骨格を示すにとどまった。

 NISAは投資で得た利益にかかる約20%の税金がゼロになる減税制度。現行では低リスクの投資信託が対象の「つみたて型」と、株式にも投資できる「一般型」の2種類がある。2024年からはこれを一本化して併用できるようにする。

 つみたて型の投資上限額は現行の3倍の年120万円に。一般型は「成長投資枠」に名称を変え、上限は2倍の年240万円に拡大する。年計360万円の投資が可能だ。いつでも口座を開設できるように制度を恒久化し、非課税期間も無期限にする。ただし、生涯の投資上限額は1800万円(成長投資枠は1200万円まで)とし、減税対象が青天井になるのを防ぐ。

 大幅拡充の道筋は岸田首相がすでに引いていた。税制改正に向けた与党の議論が本格化する前から、NISAを抜本的に拡充すると宣言していた。

 一方、「岸田印」である格差是正に向けた税制改正は及び腰がめだつ。

 所得1億円を境に所得税の負…

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