吉右衛門の存在の大きさ 改めて痛感 2022年の歌舞伎界
増田愛子
次世代に受けつがれて欲しいものは、なんだろう? この1年、世代交代が進みつつある古典芸能の舞台を観劇しながら、一観客として、そんなことを考える機会が多かった。
中村梅玉の人間国宝認定、松本白鸚の文化勲章受章と、慶事の続いた歌舞伎界。コロナ禍による延期で、2年半越しに実現した「市川團十郎」襲名は、2部制や限定的な大向(おおむこ)うの再開とあわせ、興行の「正常化」を印象づける機会となった。
歌舞伎、文楽……。今年1年の古典芸能の出来事を、担当記者が振り返ります。
大河ドラマ「鎌倉殿の13人」への出演も注目された市川染五郎はじめ、10代後半~20代前半の若手の進境も目を引いた。地力をつけた彼らが「花形」の中心となる日も、近いだろう。
一方、6月には、古風で品の…