コロナで出せなかった音を聖地で 秋田南、手差し伸べた名電と演奏会
新型コロナ感染のため、10月の全日本吹奏楽コンクールに多数のメンバーを欠いたまま臨まざるを得なかった高校吹奏楽部の名門・秋田南(秋田市)が17日、「聖地」での再挑戦を果たした。同じ出場校の愛工大名電(名古屋市)が用意した合同演奏会で、あの日一緒に立ちたかった仲間とめざしてきた音を響かせた。
例年、コンクール高校の部などが開かれる名古屋国際会議場センチュリーホール(同市)。秋田南は10月もこの舞台に立ったが、本番数日前から出場メンバーの感染が続き、55人で迎える予定がわずか38人で臨むことになった。全員で響かせようと練習してきた課題曲と自由曲も不完全燃焼に終わった。欠場した多くは3年生。コロナ禍と高校時代が重なり、入学した2020年はコンクール自体が中止になった代だった。
今回の演奏会は、両校と交流のあった吹奏楽作家のオザワ部長(53)が名電の顧問、伊藤宏樹教諭(60)に声をかけ、名電がホスト役を務める形で実現した。
秋田南は自由曲、課題曲を、コンクールに出場を予定していたメンバーとほぼ同じ顔ぶれで演奏。自身も欠場した当時の部長、高橋初実さん(3年)はあいさつで、「もう一度、この舞台に帰ってこられて幸せです。一生忘れられません」と声を詰まらせた。
名電は前日に交流会、当日は共演し、盛り上げた。部長の武藤りささん(3年)は「秋田南の再挑戦に携わるという、貴重な機会を与えてもらった。みなさんに感謝です」と話した。(小原智恵、横川結香)
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