釣りに夢中で知らぬ間に6キロ沖に 経験者が語るSUP遭難の恐怖

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宮坂奈津
【動画】SUPで漂流 14時間後に救助=海上保安庁提供
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 波がうねり、陸からどんどん離れていく。パドルをこいでも全然、進まない。

 SUP(サップ)の上で削られていく体力を感じながら、千葉県佐倉市の男性(41)は怖くなった。

 SUPとは「スタンドアップパドルボード」の略で、大型のサーフボードのような形状をしている。

 操縦資格や講習も必要ない手軽さが売りで、コロナ禍で釣りやヨガを楽しむ人などを中心に人気が高まった。

人気上昇中のSUPは近年、海難事故が急増しています。漂流を経験した釣り人が「教訓になれば」と取材に応じてくれました。

 男性はSUP歴約1年。月に数回、海上で釣りを楽しんできた。11月、遭難時の狙いは、旬のアカハタだった。

海のプロも帰りだした

 晴天で風速は最大6メートルという当日の予報だったが、「ちょっと風が強いけど、行けなくもない」。太平洋側の外房での釣りは海が凪(なぎ)の時だけ――と本来決めていたが、わざわざ前泊したことや釣果への期待感もあり、海へ出た。

 午前6時に出発し、風が強まった同7時ごろ、ボードが南の沖合に流され始めた。目印にした展望塔は見えており、男性に焦りはなかった。「こいで戻れる。まだ大丈夫」と流されるまま釣りを続けた。

 午前8時、波がうねり出した…

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