「恩師は芸術の本質語った」 反田恭平さん、湯浅勇治さんを追悼

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聞き手 編集委員・吉田純子
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 ウィーンで急逝した湯浅勇治さんは、ベルリン・フィル首席指揮者のキリル・ペトレンコさんや阪哲朗さん、下野竜也さんら、数多くの優秀な指揮者を育てあげた名教師でした。ピアニストの反田恭平さん(28)も湯浅さんから指揮のレッスンを受け、クラシックの伝統への視野を豊かに広げてきたひとりです。亡くなる2日前にも電話で話し、ウィーンの伝統文化を継ぐと約束したばかりだったといいます。恩師への思いを語ってもらいました。

 あまりにも突然のことで、ぽっかりと心に穴が空いたようです。音楽家としても、人間としても、様々な角度から芸術の本質を語ってくださる方でした。調性やリズムなどの基礎に常に立ち返れとは指導されたけど、「こう振れ」などと自分のルールを押しつけるようなことは絶対にしなかった。生徒それぞれの個性を見いだし、それを伸ばすことに、本当に長(た)けていたのだと思います。

 2、3年ほど前から、主にウィーンで先生の指導を受けていました。僕は12歳の頃から指揮がやりたくて、その夢をずっと自分の中で温めていたのですが、そろそろ本格的に指揮の勉強をしてもいい時期なんじゃないかと。そんな折、複数の人から「湯浅先生に習ってみたら」と言われたんです。きっと気が合うに違いないから、と。

 厳しいことで有名な先生でし…

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