呼吸が乱れ、なかなか言葉を発することができない。
11月のNHK杯フリー。「かなだい」こと村元哉中、高橋大輔組(関大ク)が演技を終えた直後のテレビインタビューを、僕は会社の内勤席で見ていた。
アナウンサーの問いかけに答えようとする高橋の息が整わない。36歳は何とか言葉をつないでいた。
その姿を見ながら、胸がキュッと締め付けられた。
「なぜ君は、そんなに頑張ろうとするのか……」
そう思うと、自然と涙がにじんできた。
アイスダンスに転向して3季目。高橋が村元と演じるフリー「オペラ座の怪人」に懐かしさを抱くとともに、自らを極限まで追い込む高橋の姿には胸を打たれる。
高橋が2006―07年シーズンに演じた「オペラ座の怪人」。東京体育館であった07年3月の世界選手権を取材していた。日本男子初の銀メダルが決まった瞬間、彼が人目もはばからず涙していたのを思い出す。
あの「オペラ座」とは、どういうものだったのか。
今の高橋の姿と重ね合わせな…

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