トランプ氏の火に油注ぐツイート、相次ぐ画策も 米議会襲撃の報告書

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 2021年1月6日に起きた米連邦議会議事堂襲撃事件をめぐり、調査を続けてきた米下院の特別委員会が19日、最終報告書の概要を公表した。膨大な情報と証言に基づき、事件に至る経緯や事件の詳細、特別委としての勧告をまとめている。154ページからなる概要の主な内容は次の通り。

米下院の特別委が公表した最終報告書には、事件当時の議事堂内の切迫した状況も描かれています。家族への別れの電話などが飛び交っていた様子を、記事後半で紹介します。

 特別委の公聴会で私たちは、2020年の大統領選挙を覆すための重層的な計画があったという証拠を提示した。その証拠は、最重要かつ明快な結論を導いている。すなわち、議事堂襲撃の主要な原因は、その他大勢が動向を追う一人の男、トランプ前大統領だったということだ。1月6日に起きた全てのことは、トランプ氏なくしては起こらなかった。

事件当日までの経緯

 20年の大統領選の数週間前、トランプ氏の選対本部長らは、選挙結果は(11月3日の投票日)当日中には出ないと忠告した。選挙結果は予測した通り、郵便投票や不在者投票の集計が増えるにつれ、トランプ氏のリードが失われていくことが明らかになった。

 投票日の夜、選対本部長はトランプ氏に「まだ票を数えている最中だ」と話すよう助言したが、トランプ氏はこれを拒否し、「正直に言って私たちは勝った」と公の場で発言した。

 証言によると、その場にいた顧問らの中でトランプ氏の勝利宣言を支持していたのは、酩酊(めいてい)しているように見えた顧問弁護士のジュリアーニ氏(元ニューヨーク市長)だけだった。

 トランプ氏が虚偽の勝利宣言をし、開票をやめるよう求めたのは、計画的なものであった。

 その証拠には、保守系活動家が10月31日と11月3日にホワイトハウスに宛てた複数の書簡が含まれる。

 また、(トランプ政権の元首席戦略官の)バノン氏が「もしトランプ氏が投票日の夜までにリードしていなかったら、『彼らが(票を)盗んだんだ』と言うだろう。司法長官に命じて、50州すべての投票所を閉鎖させるだろう」と語った10月31日の音声記録も残っている。

 バー司法長官(当時)は「大統領に何度もはっきりと、選挙結果に影響を与えるような不正の証拠はないと言った」と語っている。

 さらに、トランプ氏が任命した別の複数の司法省高官も、(選挙不正の)疑惑は虚偽であると繰り返し伝えていた。1月6日が近づくにつれ、ローゼン司法長官代行(当時)とドノヒュー司法副長官代行(同)は、ほぼ毎日のように、電話で同省の調査結果を詳細に説明していた。

 トランプ氏は、虚偽の主張であっても擁護してくれる新しい弁護団を結成。ジュリアーニ氏が率いる弁護団は結局、何十もの訴訟に敗れた。(トランプ氏側が敗訴した)判決に政治的な意図があるという主張には、合理的な根拠がない。実際、トランプ氏側に不利な判決を下した裁判官のうち11人は、トランプ氏自身に任命されている。

 当時の大統領首席補佐官の側近の証言によると、20年12月中旬、(選挙結果の無効化を求めた)テキサス州による訴訟が最高裁で却下され、トランプ氏は「負けたことを知られたくない。恥だ」と話していた。

 また、特別委が収集した証拠…

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