大雪時、エンジンをかけて車内で眠ると危険 CO中毒事故を防ぐには

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宮坂知樹 井上充昌 長橋亮文
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 大雪に見舞われた新潟県で、停電中に車内で暖を取っていたとみられる柏崎市の女性が亡くなった。同じ市内では、停電になった自宅で発電機を使っていた一家が救急搬送される事故も起きた。原因はどちらも一酸化炭素(CO)中毒とみられている。(宮坂知樹、井上充昌)

 柏崎市山澗で20日午後4時15分ごろ、介護職員の女性(27)が自宅前の駐車場に止めた軽乗用車の中で意識を失っているのを、近くの住民が発見した。通報を受けて救急隊が駆けつけたが、死亡が確認された。

 発見時、車は雪に埋まり、エンジンキーがオンの状態だった。一帯は大雪の影響により停電していた。県警柏崎署は、自宅で暖房を使えなくなった女性が車の中にいたところ、マフラーが雪でふさがり、排ガスが車内に流入した、とみている。

 同市芋川の一家から119番通報があったのは同日午後5時15分ごろ。一家は6人暮らしで、子どもと高齢者を含む4人が気分の悪さを訴えて自宅から搬送され、1人が自分で病院に行った。5人とも命に別条はないという。

 この地域も停電中で、市消防本部によると、一家は暖房を使うため、一戸建ての玄関に置いた発電機のエンジンを作動させていた。石油ストーブなども使用していたという。

 新潟地方気象台によると、この日の柏崎市の気温は午後5時時点で1度。降雪量は降り始めの18日正午から94センチに達していた。

大雪のとき自動車で長時間過ごすこともあります。そんなとき、一酸化炭素中毒を防ぐにはどうすればよいのか。JAFや専門家に聞きました。

停電や立ち往生で車に長時間、どう過ごす?

 一酸化炭素は無色・無臭で、発生に気づきにくい。空気より軽く、知らずに吸い込んで酸欠状態になる。軽い頭痛や疲労感から始まり、激しい頭痛やめまい、耳鳴り、吐き気を発症。意識障害やけいれんが起き、死に至ることもある。

 日本自動車連盟(JAF)のサイトによると、車の周囲を雪で埋めてエンジンをかけるテストをしたところ、マフラーから出た排ガスは車体の下方にたまり、エアコンの外気導入口から吸い込まれた。車内は一酸化炭素の濃度が上がり、危険な状態になったという。除雪してマフラーや車体の周りに空間を確保することが大切という。

 停電や立ち往生などで長時間車内で過ごすことになった場合の注意点について、長岡技術科学大の上村靖司教授(雪氷工学)は「エンジンをかけたまま眠るのはリスクが高い」と指摘する。大量の雪が一気に降れば、その間に車が埋まる恐れがあるためだ。

 エンジンで動かすタイプの発電機も注意が必要という。燃料の燃焼により一酸化炭素が発生するリスクが高まるため、閉め切った室内で使えば「とても危険」。発電機は屋外に置き、そこから電線を引き込むよう勧める。

一酸化炭素中毒にならないために

・いつでも除雪できるよう車にスコップを積んでおく

・マフラーの近くを定期的に除雪し、排ガスの流れを確保

・雪が一気に積もることもある。エンジンをかけたまま眠らない

・家で発電機を使う場合は、屋外に置いて電線を引き込む

※JAFや上村靖司教授への取材による

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