「これは人災だ」不明者家族 海やヒグマの写真が残された 知床事故

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小陳勇一
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 北海道・知床半島沖で観光船「KAZUⅠ(カズワン)」が沈没した事故は、23日で発生から8カ月となった。乗客・乗員26人のうち20人の死亡が確認された一方、6人が行方不明のまま年の瀬を迎えた。家族らは悲しみと寂しさ、やり場のない怒りを抱え、北の海に思いをはせる。(小陳勇一)

 「とにかく帰ってきてほしい。いろいろ話したいことはあるけれど、『帰ってきたね』と声をかけたい」。今も行方が分からない福岡県久留米市出身の小柳宝大(みちお)さんの父親(64)はそう話す。

 事故について、国の運輸安全委員会が15日に公表した報告書は、運航会社のずさんな安全管理と、国の監査・検査の実効性の問題を指摘した。「これは人災だ。宝大が知ったら『乗るんじゃなかった』と思うでしょう」

「大きな宝物」

 宝大さんは姉と弟の3人きょうだい。「大きな宝物」との思いを込め、名づけられた。35歳になるはずだった11月の誕生日には、家族のLINE(ライン)グループに親子4人がお祝いのメッセージを書き込んだ。沖縄に住む姉からは、宝大さんが好きだった「もつ鍋セット」が贈られてきた。

 宝大さんは、高校1年の時からアルバイトをしていた外食チェーンリンガーハットに、卒業後に入社。神奈川県愛知県などで勤務した後、5年ほど前からカンボジアの首都プノンペンで店舗の責任者として働いていた。

 家族思いで、新しい任地には必ず家族を招いた。プノンペンでも2019年に会い、アンコールワットなどを旅したほか、リンガーハットの店舗では、現地スタッフに家族を紹介した。

 最後の帰宅となったのは昨年9月。墓参りや阿蘇山への家族旅行をした。

最後のメッセージと写真

 「今から知床に移動 遊覧船で知床半島の絶景を見てくる! 写真たくさん撮ってくるね」

 事故当日の4月23日朝、一…

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