第6回「30年の約束」を国は守るか 除染土が残れば、ふるさとは遠のく

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 福島の復興のため、30年間の我慢だ――。

 門馬好春(65)は白い防護服をまとって大熊町の実家に立ち寄るたび、自分にそう言い聞かせてきた。

 生まれ育った木造平屋の実家は、東京電力福島第一原発の敷地境界から内陸に100メートルほど。いまも中間貯蔵施設の敷地内に残っている。周辺には原発事故後、福島県内を除染して出た土などが入った黒いフレコンバッグが積み上がっていった。

 福島県内各地から運び込まれた汚染土に埋まっていくふるさと。それでも、汚染土は搬入開始から30年以内に福島県外で最終処分される約束のはずだ。

 中間貯蔵施設内に土地を持つ門馬らは地権者会を結成し、県外処分の実現などに向けて、説明会で意見したり、用地契約の団体交渉にあたったりしてきた。

連載「『土』の行方~原発事故の宿題~」はこちら

原発事故による汚染土の中間貯蔵施設の用地買収をめぐり、国の進め方に異議を唱え続ける地権者がいます。なぜ、闘い続けているのか。背景にある思いを探ります。

 門馬は3人きょうだいの末っ子だった。

 幼いころは沼でドジョウを捕まえ、山でとったハツタケ入りのごはんが好物だった。

 夏は家族で畑の葉タバコをとって干し、秋はコメを収穫する。冬になると、父は東京に出稼ぎに行った。

 お金はあまりなかったが、「ひもじい思いはしなかった」。豊かな自然が当たり前にある。それが、ふるさとだった。

ふるさとの景色が変わった

 そんな景色は、門馬が10歳…

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    中川透
    (朝日新聞編集委員=経済、暮らしとお金)
    2022年12月30日22時47分 投稿
    【視点】

     「中間」と掲げて困難な問題解決の時間をかせぐのは、政府が原子力政策で長年とってきた対応だと思います。ゴールが見えているうえでの中間ではなく、ゴールがかすんでいる中での「中間」貯蔵。事実上の「最終」となりかねない、との疑念が地元から出てくる