第4回東電幹部「知事の考え、まったく読めぬ」 柏崎刈羽、再稼働の道筋は

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長橋亮文 戸松康雄 井上充昌 岩沢志気
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連載「原発回帰の行方」④

 夏の暑さが和らいできたころ、一人の経済産業省幹部が東京電力柏崎刈羽原発新潟県)を訪ねた。

 その前の週、岸田文雄首相が東電福島第一原発事故以来となる原発政策の大転換を検討するよう指示していた。

 「国が前面に立ってあらゆる対応をとる」

 柏崎刈羽6、7号機を含む7基を来夏から冬にかけて再稼働させる目標を示してみせた。

 準備がどの程度整っているのか――。幹部の目的は、不祥事が頻発したこの原発の状況を自分の目で確かめることだった。

 2021年1月、再稼働に向けて準備中だった柏崎刈羽は揺れていた。原発の中枢である中央制御室に入るのに必要なIDカードの不正使用が発覚。

 さらに原発への不正な侵入を検知するセンサーの不備が長く続く事例が重なっていたことが判明した。

 相次ぐ不祥事を重く見た規制委はその年の4月、運転を事実上禁じる是正措置命令を出した。商用原発では初めてのことだ。再稼働に向けた動きは途絶えた。

 不祥事が頻発した原因として指摘されたのが組織の「風通し」の悪さ。改善するべく東電は組織を改編し、稲垣武之氏を所長として送り込んだ。

 事故当時、福島第一原発の幹部として対応にあたった人物だ。

日本の原発政策が大転換した。そんな中、柏崎刈羽の再稼働は他の原発のそれとは違った意味を持つが、その現在地とは。

 風通し問題を改善しようと…

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