立候補ゼロ、無投票で当選…地方議会がピンチ なりて確保へ妙案は

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豊平森 榊原一生 堅島敢太郎 清水大輔 佐藤常敬
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 過疎化や人口減の進む中、まちの未来をどう描くのか。その担い手である地方議会で、議員のなり手不足が深刻だ。無投票当選が増え、立候補が1人もいない選挙も現れた。来年春は統一地方選がある。住民の関心を高め、女性や勤め人を呼び込むには何が必要か。

 「報酬水準の見直し」「夜間・休日議会の開催」――。地方制度調査会が年内に岸田文雄首相へ手渡す答申には、議会の主体的な取り組みを求める言葉が並ぶ。地域の課題が多様化しているのに人材は画一化し、新たななり手が少ないことへの危機感がにじむ。

立候補ゼロで選挙なし

 東京都心から南西に約60キロ。東名高速が横断する神奈川県大井町は今月6日告示の町議補選で、誰も立候補しなかった。町選挙管理委員会によると、確認できる1989年以降の選挙で立候補ゼロは初の事態だ。

 同時にあった町長選の投票率は38・75%で過去最低だった。再選した小田真一町長は「政治に無関心な状況は残念。どうしたらいいのか」と嘆く。知人に町議補選への立候補を打診したが、断られたという。

 人口約1万7千人の町で、な…

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    小熊英二
    (歴史社会学者)
    2022年12月24日14時15分 投稿
    【視点】

    他の先進国の地方議員は兼職が原則で、報酬は日当と交通費のみである。その代わり、議会は仕事が終わった夕刻や土日などに開かれる。 これは古代ギリシャいらいの市民自治の考え方が根底にある。政治は市民が担うべきで、政治で職業にして食べている人