第3回原発運転延長に規制委前のめり 40年制限手放し、事故の教訓どこへ
連載「原発回帰の行方」③
「できるだけ早く、原子力規制委員会の場で(経済産業省)資源エネルギー庁から詳しい説明を受けられるように調整をお願いいたします」
9月28日の原子力規制委員会の会合で、山中伸介委員長が切り出した。山中氏が委員長に就任してから2日後のことだった。
8月24日のGX(グリーン・トランスフォーメーション)実行会議で、岸田文雄首相が原発の運転期間の延長の検討を指示したことを受け、経産省が議論を始めていた。
山中氏は「(経産省側で)検討するとの議論があったと聞いている」として「規制委としてどのような対応が必要になるのか、経年劣化に関する安全規制をどのようにするのかなど、規制委全体として議論をしなければならないと考えている」と説明した。
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岸田文雄首相の指示から4カ月で、東京電力福島第一原発事故後に堅持してきた政府の原発政策は大転換した。原子力規制委員会は急ピッチで対応策を講じた。
だが、そもそも原発の運転期間を定めている法律は、原子力規制委員会が所管する原子炉等規制法(炉規法)。東京電力福島第一原発の事故後、安全対策の大きな柱として、運転期間を原則40年最長60年に制限する「40年ルール」ができていた。
運転期間の規定、委ねる判断
規制委は10月5日、資源エネルギー庁の担当者を呼び、40年ルールを含む運転期間の定めについて経産省側に委ねることを容認。事実上、炉規法から削除することが決まった。
経産省側の考えを聞き、その…