第6回「ぼっち葬」から「他人葬」へ 死んでも「無縁」とならないために

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森下香枝
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 無縁遺骨が増える背景には、家族や親族がいない人、いても頼ることができない人の増加がある。

 これまでに50人以上の成年後見人(認知症などで判断能力が不十分な人の代わりに契約の締結や財産管理などをする)を務めた鹿児島市司法書士・芝田淳さん(53)は、「ひとりぼっち葬」が多くなっている、と明かす。

 数年前、億単位の財産を持ったひとり暮らしの高齢者の後見人を務めた。最後は高齢者介護施設で亡くなり、芝田さんが葬儀を執り行ったが、出席者は施設担当者だけだった。「財産の相続人はいましたが生前に確執があり、寂しい光景だった」と振り返る。遺骨はお寺に数年、預かってもらった後、永代供養の合葬墓に入るという。「成年後見人が身寄りの代替として利用されている現状がある」という。

 芝田さんは2007年に連帯保証人を確保できない人に対し、連帯保証を提供するNPO法人を立ち上げた。身寄りのない当事者たちが支え合う互助会的な組織「鹿児島ゆくさの会」などの設立も支援。それらの組織をバックアップする弁護士、司法書士、社会福祉士ら専門家が集まるNPO法人「つながる鹿児島」を2017年、立ち上げた。

 会では、4~5人でグループになり、LINEで毎日、ひとこと発信することを目標に、互いに支え見守りあう。歩行が困難になった人へ買い物の支援や、ごみ屋敷にしてしまった人の家の大掃除もする。仲間が入院する際には病状の説明をいっしょに聞き、退院の時には迎えに行くこともある。延命治療など医療に関する考え方や死後の事務について、「つながるファイル」を作成し仲間と共有することもすすめている。

社会制度の多くは、家族や親族によるサポートが前提で構築されています。死後の対応もその一つ。単身高齢者が増えた現代社会では「意識転換も必要だ」と専門家は指摘します。

弔いあう身寄りなき高齢者

 会員は現在、約130人。連…

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