子どもらが古書店出店、収益は難民らの支援に 下北沢のXマス行事
東京都世田谷区の下北沢で24日に開かれたクリスマスのイベントに、小中学生が古書1千冊から選んだ本を並べて売る屋台が登場した。
「いらっしゃい」
「いい本がありますよ」
小学4年~中学1年生の8人がそれぞれ自作した屋台の本屋で、イベントに来た親子らに声をかけた。
仕掛けたのは、私立新渡戸文化学園(中野区)の山内佑輔教諭(40)。運営するクリエーティブスペースを利用する学内外の子どもたちに「クリスマスに本屋さんをオープンしよう」と呼びかけ、実現した。
インターネットで古書を買い取り、販売する「バリューブックス」(本社・長野県)が協力し、買い手がつかずに古紙回収に回る予定だった1千冊を提供。子どもたちは古書流通の世界を学びつつ、1人数十冊を選び、値付けを考えた。同社には古書の買い取りを通じて社会貢献活動の団体に寄付する仕組みがある。子どもたちは本を売って得た収益を、それぞれが選んだ団体に寄付することにした。
屋台の木材には、物流で荷物を載せる台となる「パレット」の端材などを利用し、デザインや設計も考えて作り上げた。分解して持ち運べる。
24日の当日。小5の高梨輝さんは開始数時間で20冊近くも売り、満足顔。「がんばったかいがあった」。寄付先はウクライナ支援の団体と決めている。
小4の武内かのんさんは自身の店を「好きな物書店」と名付けた。「私が好きなものを、好きと言ってくれる人が多い」と選書に自信を見せた。
小4の奥野誠大(まさひろ)さんは、当初数百円で並べた本を途中から「全品100円」に。母の知人が関わる難民支援の団体に寄付する予定だ。「たくさん買ってもらわないと」
山内教諭は「客とのやりとりが楽しそうで、いろいろな表情を見られることがうれしい」と、今回の企画に手応えを感じた様子。バリューブックスの広瀬聡さん(63)は「本への関心を高めて、たくさん読むようになってほしい。自分で考え、働いた成果で寄付をするのも、いい経験になるでしょう」と話した。(井上恵一朗)
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