バイオリン好き高校生、超絶技法の謎を解明 ケンブリッジ大にも相談

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竹野内崇宏
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 高校生・高専生が自由研究の成果を競うコンテスト「JSEC(ジェイセック)2022(第20回高校生・高専生科学技術チャレンジ)」の最終審査会が10、11日、東京・お台場の日本科学未来館で開かれた。全国166校の617人から、過去最多となる339研究の応募があり、最終審査会には高く評価された30研究が出場、研究を発表して競った。

 上位入賞した研究は、来年5月に米国・ダラスで開かれる国際学生科学技術フェア(ISEF(アイセフ))に日本代表として挑む。JSECの最終審査会は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で20、21年ともオンラインで開催されたが、今回は3年ぶりに多くの学生がリアルで交流した。

文部科学大臣賞の田中翔大さん=市立札幌開成中等教育学校5年

 弦にそっと触れて高音を奏でるバイオリンの「ハーモニクス奏法」。数百年の歴史で誰も解き明かしていなかった、その弾き方にまつわる秘密を、数理モデルを使って解き明かした。バイオリンの音色と同じように美しい数式が現れたときには、「一睡もできないくらい興奮しました」と笑う。

 箸の扱いが器用だからと、家族で誰も弾かないバイオリンを4歳で始めた。今も毎夜、マンションの制限時間の午後9時まで練習。北海道のコンクールで優勝した経験もある。

 同時に魅せられたのが数学や物理だ。弦の振動や和音の研究は多く、「音楽の美しさは科学的に説明可能」のように語られることもある。「そんなはずない」と思ってユーチューブに公開された大学レベルの講義を聴きあさるうち、数式の美しさにも目覚め、弓や指による摩擦や振動が複雑なバイオリンは現代でも解明が未完だと知った。

 「あの現象は説明できるのかな」。思いついたのが奏者特有の、ある体験だ。

 弦を指で押す普通の弾き方と異なり、触れる指の位置や弓の圧力で音色が変わるハーモニクス奏法は、高難度の「超絶技法」だ。

 奏法の最中、誤って弦から指…

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