第23回電源ON、だけど「何もしない」 人の心支えるロボット実現は可能か

有料記事

聞き手・金子智彦
[PR]

 ただ、そばにいてほしい――。何もしなくていいのなら、人ではなく、ロボットでもその役割は担えるのではないか。しかし、ロボットは何かをさせるために製作される。つまり、目的を設定した瞬間に「何もしない」ロボットではなくなってしまう。大阪大大学院基礎工学研究科の高橋英之特任准教授(コミュニケーションの認知科学)は、そんな二律背反のテーマに挑んでいる。

たかはし・ひでゆき 1980年、東京都生まれ。専門はロボットの心理学、コミュニケーションの認知科学。著書に「人に優しいロボットのデザイン 『なんもしない』の心の科学」。

 ――めざすロボットとは。

 前提として、人間関係は忖度(そんたく)や依存にあふれ、人々は気持ちをすり減らしています。そばに人がいれば幸せになれるとか寂しくないとかって、社会がつくり出した幻想なんじゃないか。人間同士が手を取り合うことは素晴らしいとされますが、どういう状態が幸せなのかは本人にしか分かりません。

 過度な人間関係の神格化に基づく暗黙の「物語」には無理があると、21世紀になって人々が気づき始めました。そんな人間関係のしがらみの外側で、自分の感情を出せる、引き出してくれる存在に需要が発生するのではないかと思いました。

 ――ロボットがそれになり得ると。

 高齢者の方に人間やロボット…

この記事は有料記事です。残り2252文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら

新聞の親子読み 記事一覧はこちら

新聞の親子読み 記事一覧はこちら

朝日小学生新聞から、あわせて読んでほしい記事をお届けします。[もっと見る]

連載灯 わたしのよりどころ(全28回)

この連載の一覧を見る