世田谷殺人事件、同級生も心に傷 絵画教室で描いた「沈んでいく絵」

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岩田恵実
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 2000年12月に東京都世田谷区の会社員、宮澤みきおさん(当時44)の一家4人が殺害された事件からまもなく22年。幼くして犠牲となった長女にいなさん(同8)、長男礼君(同6)の同級生たちもまた心に大きな傷を負った。そんな子どもたちに対し、絵画教室を開くことでケアにあたった団体があった。

 NPO法人「子ども未来研究所」(東京都港区)は1999年に設立。子どもの心の成長をサポートしようと「アートワークセラピー」教室を開いてきた。心の内を表現する手段としてアートを用い、自由に絵を描かせるなどして感性を育もうという試みだ。

 かつて同法人の関連団体の教室に通っていた篠原里代子さん(65)。次女がにいなさんと小学校の同級生だった。「同じ時期に生まれた子どもが犠牲になるなんて」。人ごととは思えなかった。

 事件自体に加え、登下校中の子どもに声をかける過熱した報道、繰り返し流れる現場のテレビ映像なども子どもたちを苦しめた。同級生たちの中には一人で眠れない、物音や見知らぬ人に過敏になる、怖い夢を見るなど、PTSDのような症状が出た子もいると聞いた。

 篠原さんは同法人に相談。にいなさんや礼君の同級生約30人を集め、事件の約1カ月後からアートワークセラピーの教室を開いた。

 同法人理事の柴崎千桂子さん(63)は、楽しそうに参加していた子どもたちが描いた絵を見て驚いた。

子どもたちが描いた絵は当初、多くが海に沈んでいくようなもので、事件のショックの大きさをうかがわせました。それが絵画教室を重ねることで徐々に、変化を見せていきます。

 洪水の中に沈む恐竜、海で泳…

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