黒岩知事が4選に向けて出馬表明

統一地方選挙2023

足立優心 伊藤良渓
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 黒岩祐治神奈川県知事(68)は26日、横浜市内で開かれた政治資金パーティーで、来年3月23日告示、4月9日投開票の知事選に、4選をめざして立候補すると表明した。

 黒岩氏は、立候補について後援会幹部から「決断いただけないか」と問われると、「気が入るか、毎日自問自答を繰り返し、いま決めた」と述べ、「もう1期やらせていただきます」と立候補する考えを示した。その上で、「県民のいのちが輝き、皆が健康で、長寿になる世界のモデルを神奈川で作る」と語った。

 パーティー終了後、黒岩氏は報道陣に「今までやってきたことを前進させるのは当然。新しい時代に合わせた行政のあり方を作りあげていきたい」と述べた。詳細な政策などについては今後練り上げるという。

 黒岩氏は3期12年の中で、健康と病気の間の状態「未病」を改善する政策や、2016年に障害者ら45人が殺傷された津久井やまゆり園事件を受けて障害者福祉の推進などに力を入れてきた。20年1月に国内初の新型コロナウイルス感染者が県内で確認されて以降は、重症化リスクの低い人に限って医療機関を受診せずに「自主療養」とできる制度など、県独自のコロナ対策を打ち出した。

 知事選を巡っては県議会最大会派の自民党の県連が黒岩氏支援を表明。同党の規約では党本部の推薦は3選までで、4選をめざす黒岩氏には、県連による推薦などを検討している。

 黒岩氏は元フジテレビキャスター。11年の知事選では自民党県連や民主党県連(当時)、公明党県本部の支援を受け初当選した。15年もこの3党などの推薦を受けて再選。19年は自民、公明、国民民主の推薦を受け3選した。

     ◇

 4選出馬を表明した黒岩氏。各党は黒岩氏支援を表明したり、独自候補の擁立を模索したりしている。

 自民党県連所属の県議らは17日に対応を協議し、県連として支援する方針を確認。小泉進次郎県連会長は報道陣に「首都圏唯一の自民党系の知事を失うわけにはいかない」と話した。

 県連関係者によると、黒岩氏を支援することに反対する意見はなかったという。ある県議は「3期目のほとんどがコロナの対応で思ったように他の政策を進められなかったと思う。もう1期やってもらいたい」と話す。一方で別の県議は「知事に対して、腹に思うことはあっても、ここまで来たら仕方ないというのが本音」と漏らした。

 公明党県本部の三浦信祐代表は、取材に対して、「具体的な検討はこれから」と述べるにとどめた。

 立憲民主党県連の赤野孝之幹事長は、「知事選について近く県議団を中心に考え方を聴取し、県連としての方向性をまとめたい」と話した。立憲のある県議は黒岩氏について「コロナ対策など評価できるところもあるが、疑問符がつく政策もある」と話す。

 共産党県委員会の田母神悟委員長は「大企業に奉仕してきた黒岩県政を、暮らしと福祉を守る県政へ転換しなければならない」と話し、知事選では対立候補を擁立する考えを改めて示した。「年明けに公表したい」として、候補の擁立を急いでいる。

 神奈川維新の会の浅川義治幹事長は「4期は長すぎる。どれだけ政策がよくてもこれまでの任期で権力構造ができているのではないか」と話した。知事選に向けて維新は「税金の無駄遣いをなくすため、行財政改革を訴える」とし、独自候補の擁立に向けて調整を進めている。(足立優心、伊藤良渓)

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