第3回やめられるなら、とっくにやめていた つながり始めた「宗教2世」

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 職場の休憩室で、テレビのワイドショーは「宗教2世」の特集をしていた。

 「そんな変な宗教なら、やめればいいのにね」

 同意を求める同僚の感想に、東京都内に住む30代の男性はあきらめに似た感情を抱いた。

 「やめられるなら、とっくにやめていたよ……」

 のど元まで出かけた言葉をのみ込み、「そういう方もいるらしいですね」と適当に相づちを打ってかわした。

 両親は、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の合同結婚式で出会った。男性は「神の子」と呼ばれた。

 小学校低学年の時に、周囲との違いに気付き始めた。友人の家で「なんで写真がないの?」と尋ねた。自宅の寝室には祭壇があり、創始者の文鮮明(ムンソンミョン)氏の写真数枚が飾ってあるのに。「おじいちゃんの写真ならあるけど」と返された。

 高校生になって、学校のパソコンで教団について検索した。掲示板では「異端」と書かれていた。信者の霊感商法をめぐり、刑事裁判になっている頃だった。

 「中から変えよう」と信仰に励んだ。青年部の幹部になり、教会長と議論した。「上には絶対服従という教えはおかしい」。でもいつも、「縦(じゅう)的なつながりが大事だ」と諭された。

 家は常に貧しかった。服はもらい物ばかり。専門学校の奨学金も、母親は献金に回してしまった。それでも、旧統一教会の宗教2世にとって、信仰を捨てるということは家族と離れるということ……。とても独りでは生きていけない、と感じていた。

信仰を捨てるということは

 自らの合同結婚に失敗し、よ…

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